スタッフブログ

代表の執務日誌

2015/01/24
市場はどこまで合理的でフェアになるのか

司法書士の赤尾です。

先日、スイス中銀が、対ユーロに対するフランの価格上限を突然撤廃しました。

これを受けて、
1ユーロ、1.2フラン程度で推移していた価格は、
瞬く間に1ユーロ、0.8フランまで値を上げるなど、
為替は激しく乱高下することになります。

ニュースは、これを市場の混乱として報道しましたが、
実際は、高度に高速で効率的な是正が行われたことの『作用』にすぎません。

それほどまでに、グローバルマーケットというのは、
歪みを是正し、あるいはこれを治癒するような圧倒的な力学が働くものなのですね。

しかし、我々が、普段、仕事や生活で接する多くのマーケットは、
まだまだ合理的で効率的なものになっているとは言えません。

むしろ、多くのビジネスでは、
情報や技術の格差から生じる差益や差損によって剰余金が組成されていきますので、
その差益が大きければ大きいほど、割の良い人はこれを守ろうとし、
逆に、差損は、これに気付いていない、あるいは有していない人によってアンフェアに負担されることになります。

もっとも、インターネットの普及によって、
こういった格差が是正、というよりは形を変えていっていることは今更いうまでもありませんが、
それでも、いまだそのアプローチに苦労している業界も多々あります。

私の身近では、不動産業界がそれです。

その中でも両手取引という慣習は、その代表格ともいえるものでしょう。

かつては民主党が、両手取引を原則禁止にする法案をマニフェストに盛り込もうとしましたが、
業界からの反発が大きく、結局は、マニフェストから外したという過去があります。

しかし、ここに真っ向からアプローチしようとする巨人が新規参入しました。

それが、ソニー不動産です。

昨年から大分話題になっていましたね。

保険、銀行と、リテールの分野で大きな強みと自信を得て、
満を持しての不動産参入といったところでしょうか。

原則、両手取引(=双方代理)を放棄し、
あくまで片面代理で勝負するというスタンスは、
リテールで成功したソニーらしい戦略ですし、
双方代理の欠陥を理解する成熟した顧客には、
そのブランドと相まって、一定程度訴求するはずです。

私も、一個人として、是非利用してみたいなと思うような、
クールで合理的なビジネスモデルは、
成功する可能性を十分に秘めていると思います。

そして、彼らのフィロソフィーは、
「かかった分だけ」という手数料体系にも表現されているのですが、
実は、この手数料体系にこそ、
ソニー不動産のモデルが、
必ずしも盤石なものであるとはいえない要素が含まれているのかもしれません。

不動産屋の仕事において、
そのキモとなるのは、
顧客の意思形成を構築することにあります。

そして、意思が形成されて、
最終的な表示に至るまでの期間には、
かなり個人差があるはずですし、
一般的には、その傾向は、長期化しているのではないでしょうか。

実際、これだけ不動産マーケットが成熟し、
選択の幅が広がってくると、
顧客としては、じっくりみてから決断をするというポジションを取りたいと考えるのが通常だからです。

しかし、ソニー不動産の手数料体系は、
時間や手間とのトレードオフによって安価となりますので、
これらの層とは、その前提を異にしています。

むしろ、早期に決断することを顧客に迫るモデルです。

また、仮にですが、最終的に他の不動産屋とソニー不動産の手数料が同額(上限)になった場合を想定すると、
ソニー不動産の手数料が割高に感じられてしまうという心理も働くかもしれません。

もちろん、これらに対策は、各種キャンペーン等によって補完するのでしょうが、
入口戦略が重要になるのは間違いなさそうです。

一方、顧客側としては、
ターゲットが明確で、絞られているほうが、
利用価値は高くなってきますし、
実際、大きな受益を得られるはずですから、
早期決戦を望む場合は、非常に合理的な選択になるでしょう。

いずれにしても、
ソニー不動産の掲げるモデルは、
市場の合理性に一石を投じうる価値あるものだと思いますし、
新しい選択が、増えることは間違いなく歓迎すべきことです。

この成熟した不動産マーケットで、
どれだけシェアを伸ばせるのか、
また、それによってどれだけフェアで効率的なディールが成立するようになるのか、
ソニー不動産のモデルは、まさに、そのテーゼとなりうる存在かもしれません。


(余談)

とはいえ、特に大手の不動産業者においては、
両手取引に関する厳しいコンプライアンスが働いているのが通常のはずですし、
それが顧客に伝わっていない、あるいは、理解されていないというケースも多いです。

その点、ソニー不動産は、新規参入という強みを生かしているとも言えます。

赤尾

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